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![]() ジャパンハートクラブ 運動療法・心臓リハビリテーション指導士向け教育事業 第2回ホノルル・心臓リハビリテーション・ワークショップを終えて 順天堂大学スポーツ科学研究所 健康運動指導士 保科エミ |
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![]() 「ホノルル・心臓リハビリテーション・ワークショップ」が行われました。ここでは、その概略をご報告します。 ![]() ![]() (1) 日系ハワイ人を対象とした大規模疫学研究の成果を元にメタボリックシンドロームに対する治療戦略を考える。 (2) 慢性腎疾患CKDと運動に関する最近の知見から“Renal Rehabilitation”の新たな可能性を討論する。 (3) メタボリックシンドロームにおける遺伝子発現のしくみ(Gene-gene interaction)や環境因子との関連(Gene-enviroment interaction )を理解する。 (4) 米国の肥満外来プログラム、循環器病棟を見学する。(於:クイーンズ・メディカルセンター)。 ![]()
![]() ![]() ? では、CKDを有しGRF値が高いほど死亡率、心イベント発生率、再入院が多いという結果が示されました。アメリカでは高額な医療費のため検査入院という概念はなく、CKDが見逃されることも多くあるようです。一方、日本では学校保健の一環として組織的に尿検査が行われ、症状を早い段階から確認することができます。予防の観点からも検査システムに関するアメリカと日本の違いは興味深く、この恵まれた環境をもっと活用すべきだと感じました。 ? では、CKDを合併した心疾患患者は危険因子がより重積し、合併症も多いとのことでした。しかし、CKD合併患者でも心臓リハビリテーションを行うと運動耐容能は向上するという結果が紹介されました。一方、どのくらいの強度で行えばいいのかについてはまだ明確になっておらず、今後の課題となっていました。 ? では、?に比べると透析によりコントロールされている人の方が運動強度に対するリスクや栄養摂取の上限は緩和されます。しかし、中には血圧変動が大きい方もいるので、そのような方への懸念も指摘されました。講義の後はテーマごとにディスカッションの時間が設けられ、和やかな雰囲気の中、班ごとにさまざまな意見交換をすることができました。
![]() ![]() PHRIは、太平洋地区における大規模疫学研究の主導的立場の研究機関であり研究対象は糖尿病、認知症、高血圧症、心臓病、長寿医学などさまざまです。そのうちの1つ「NI-HON-SANプロジェクト」(日本、ホノルル、サンフランシスコ在住の日本人または日系人を対象とした比較疫学研究)の報告では、「日系人の方がスリムであるけれど、メタボリックシンドロームになる発生率が欧米人よりも高いので注意しなければならない」という衝撃的な結果が示されました。今後、もっと日本にしのびよるであろうメタボリックシンドロームというテーマに危機感をもって接していかなくてはいけないと心から思いました。また、メタボリックシンドロームの治療戦略については、源流(内蔵脂肪、インスリン抵抗性)にアプローチする戦略から、確実に1つ1つの冠危険因子を正常化していくという戦略に移りつつあるということでした。 驚きを隠せない興味ある講義内容にいろいろな質問が飛び交いました。その後は「メタボリックシンドロームの最も効果的な治療戦略」について班ごとにディスカッションを行い、発表を行いました。多職種がそれぞれ立場から意見を出し合い、参加者の積極的な雰囲気が感じられました。
![]() ![]() 1つ目のホノルルハートプログラムは日本人男性、日系ハワイ人、サンフランシスコ在住日系人の心疾患有病率を調査した研究で、その結果、日本人よりも日系ハワイ人の方が1.5倍、サンフランシスコ在住日系人では3倍、心疾患有病率が高いというものでした。最近では、血中リポプロテインの分子サイズが小さくなると危険率がなることなどが報告されています。 2つ目のホノルル・アジア・エイジング・スタディは高齢者を対象にした認知機能の調査で、遺伝子多型を調べると脳血管性認知症のリスクを予想できることなどが報告さています。 3つ目の長寿研究は、主に遺伝情報を調べることにより、疾病構造を知るというものでした。同じ遺伝子を保有していてもその配列が0.1%違うだけで他の数百の遺伝子との相互作用により異なる遺伝子発現が得られるそうです。さらに、環境因子との相互作用の重要性も示唆されました。 今回、遺伝子に関する講義を初めて聴きましたが、その内容はとても新鮮でした。遺伝子の世界は奥深く、環境との関連も奥深く、疾患予防への応用に期待が膨らみました。そして何よりも矢野先生の研究に対する情熱や発想、お人柄に感銘を受け、いいエネルギーを頂いたようにように感じました。
![]() 英語によるディスカッションのコツを実習で学ぶ ![]() ここでは、講義というよりもどの様に英語を覚えたのか?先生の実体験を教えていただいたような印象です。堅苦しくまじめに話を聞くと言うよりも「とにかく声を出して呼んでみよう!」「途中でも話を止めてどんどん質問していいですからね!」というフランクな雰囲気で進みました。最初は、院内でよく耳にする単語(例えば、Albumin、Anginapectio、Dementiaなど)の発音確認をしました。思った以上に1つの単語にいろいろな発音の仕方があるので驚きました。その他には、?会話ではモゴモゴ話すより、伝えようとすることをはっきり発音すること。?英語論文中のキーワードから単語を覚えること。?意味だけを捉えるヒアリングと音だけを捉えるヒアリングを区別して練習することなど、具体的なトレーニング方を教えていただきました。これから英語を勉強していこうと考える私にとって、とても勇気付けられる講義になりました。 ![]() ![]() 肥満改善プログラム“Queen’s Comprehensive Weight Management Program”はセルフマネジメント能力の開発を目的とした12週間の外来型プログラムです。プログラムの構成自体に目新しいところはありませんでしたが、私たちが驚かされたのはプログラム参加者のほとんどが肥満手術経験者であったことです。実は、米国の医療現場では肥満者に対する生活習慣修正療法の限界が指摘されており、若年肥満者を中心に介入早期から外科手術を選択する例が急増しているのです。プログラムディレクターで消化器外科医のDr. Murayamaは、肥満手術を駆使することで体重は50~70%減少し、その後の肥満改善プログラムによって更に5%の体重減少を期待できると胸を張っておられました。 病院見学を終えてホテルに帰ると、ちょうど肥満手術のテレビCMが放映されていたそうです。「つらいダイエットやエクササイズはもう必要ありません!さぁあなたも手術しましょう!」とても複雑な気持ちになりました。 ![]() ![]() 毎日の講義が終わると、参加者同士で集いワイキキビーチ沿いのテラスで食を囲みながらそれぞれの現場の話、患者さんの話、疾患の話などを熱く語り合いました。今回のハワイでのワークショップは、私にとってとても楽しく、明日へのエネルギーをもらえた1週間でした。 |
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